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leave one's heart
24NEETの2ndアルバム『leave one's heart』は、前作『if it's true』からの延長線上にありながら、新たな展開を見せる作品。3部作の中での2作目という位置づけで、今回のアルバムではより複雑で深みのある人間関係や感情の揺れ動きを描いている。前作は、24NEET自身の内的な葛藤や孤独をシンプルかつ直接的に表現したもので、ゲストアーティストなしで自分の声に集中した作品だった。それに対し『leave one's heart』では、Moiroi、Arinaga、Yank、鯖といったアーティストが多数参加し、彼らとのコラボレーションを通じて多様な視点や音楽的アプローチが反映されている。
アルバムは全20曲で構成され、それぞれが異なる感情やストーリーを持ちながらも、一貫して24NEETの心の変化を映し出している。イントロやインタールードがアルバム全体の流れをつくり、リスナーを心の旅へと導く。『焦燥と孤独』では、Arinagaの声が24NEETのビートとぶつかり合いながら、焦りや不安、孤独感といった感情が溢れ出る。『Connect』や『お元気ですか?』では、YankやMoiroiが参加し、それぞれのアーティストが自分なりの感情を乗せることで、より立体的で深みのあるサウンドが作り上げられている。彼らの表現が24NEETのビートに乗り、音楽の枠を主軸に感情の調和が起きている。
アルバム全体を通して描かれているテーマは「喪失」や「別れ」だが、そこには単なる悲しみや痛み以上のものがある。アルバムタイトルが示すように、leave one's heart=心を託す、という行為が軸にある。自分自身や他者に対して心を開き、信頼すること、そしてその過程で生まれる葛藤や不安、しかし最終的にはそこから得られる理解や赦しが描かれている。特に、Moiroiが参加した『透明だった世界』や『Leave One's Heart』では、そのテーマが鮮明に表現されている。『透明だった世界』では、Moiroiの透明感あるボーカルが24NEETのトラックに溶け込み、心の奥底にある感情が音楽を通して浮かび上がるような感覚を生む。音の一つひとつが感情の揺れや微妙な変化を繊細に表現しており、非常に立体的で夢のような音像が作り上げられている。
また、『leave one's heart』のサウンドは、trap的なリズムパターンを中心にしながらも、24NEET特有の幻想的でシリアスな雰囲気が随所に感じられる。浮遊感のあるシンセサウンドや、計算されたリズムが、24NEETの内的な心情を表現するための重要な要素となっている。彼のビートは、バックグラウンドミュージックではなく、感情そのものを音に変換したかのように、曲ごとに異なる物語を描き出している。特に『天窓』や『流星群』といったインタールードは、アルバム全体の流れを整え、物語の節目を作り出している。
さらに、ジャケットアートを担当したMelのビジュアルもこの作品において重要な役割を果たしている。前作から引き続き彼女が手がけるアートワークは、24NEETの音楽と同じく、内面の揺れ動きや感情の変化を視覚的に表現している。淡い色合いと抽象的なデザインが、アルバム全体のテーマと調和し、音楽の持つ儚さや繊細さをさらに引き立てている。
『leave one's heart』は、24NEETにとっての音楽的な進化を示す作品であり、彼自身の心の変化と人との繋がりを描き出したものだ。サウンド、リリック、ビジュアルが全て一体となり、感情の奥深くまで入り込むような体験をリスナーに提供している。このアルバムは、24NEETの音楽的な旅路の中で重要な位置を占める作品であり、今後の彼の活動にも期待が高まる。