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if it's true

Release 形式

ストリーミング

Release

2022/8/15

楽曲形式

ALBUM

視聴リンク

24NEETの1stアルバム『if it's true』は、2022年8月にリリースされたセルフプロデュース作品であり、すべての制作を24NEETが単独で行った。初のフルアルバムということもあり、サウンドやミックスには未熟な点が多いと本人も語っているが、その未熟さがかえってアルバムの持つリアルで感情的な側面を強調している。

全12曲で構成された本作のテーマは「喪失」。特定の誰かを失うことへの悲しみと、その中で揺れ動く感情が描かれている。24NEETのリリックは、非常に生々しい瞬間的な感情や葛藤を反映しており、その詩的な表現には、リアルな痛みや孤独が色濃く滲む。

アルバムのイントロダクションである「朝を待って」は、物語の幕開けを告げるかのように静かに始まり、続く「回想」や「経過」で描かれるのは、過ぎ去った日々とそれに伴う感情の変遷。特に「回想」の歌詞は、夢の中で失った人物を思い出し、その喪失感と共に歩む主人公の内面が、丁寧に綴られている。「慣れてくると消える 君の夢を見てる」というフレーズからは、記憶が薄れていく中で、依然として消えない感情が垣間見える。

「経過」は、ネットの世界を「タイムカプセル」として、過ぎ去った日々を記録しようとする試みが描かれており、デジタルな現代の孤独や希望がテーマになっている。歌詞の中で語られる「このネットの波はタイムカプセル 生まれ変わるとき 君の元に辿り着き」という一節には、時が経てば再び誰かと繋がることへの儚い期待が込められている。

アルバムの中心とも言える「星を編む」は、喪失を象徴する曲で、過去に対する未練と、それを乗り越えようとする微かな希望が交錯している。「君の元に降らせる星を編む 想い出になる記憶を追い掛けてる」というリリックは、失われた時間を記憶として繋ぎ止めようとする試みであり、絶えず変わり続ける現実の中で、どこかに留めておきたい感情が描かれている。

また、「Cinema」では、映画のように繰り返される記憶の断片を、映写機に映し出す比喩を通して、主人公の内面世界が展開される。記憶はテープのように擦り切れ、再生され続けるが、どこか虚無的な感覚が漂い、雨が降り続くシーンがそれを象徴している。「記憶を投影すスクリーン」というフレーズに現れるように、過去の出来事が今もなお心に影を落としている様子が伺える。

「Kranke」は、さらに深い孤独感を表現しており、現実と夢想の境界線が曖昧な中で、登場人物が迷い込む世界が描かれる。「Still in love 隙間を埋めようか この隙逃げようか」という部分では、現実の中で生きる苦しさと、それを逃れたいという衝動が入り混じりながらも、結局は何も解決しないまま進んでいく様子が描かれている。

アルバムの終盤、「Skit」や「深海(outro)」では、親交のあるアーティスト、白いお餅が参加しており、特に「希望」や「7月、第2週雨」でも彼女の声が加わることで、物語がさらに深い広がりを見せる。後半になるにつれて、失ったものへの哀しみから微かな希望へと向かう様が描かれており、その移ろいが、アルバム全体のテーマを強固なものにしている。

この作品は、技術的な未熟さが感じられる一方で、24NEETが当時の自身の感情を余すところなく表現しようとした記録として非常に価値がある。瞬間的な感情の爆発や、喪失と再生をテーマにした叙情的なリリックが、聴く者の心に強く訴えかけてくる。

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